賃貸アパートの住居環境のうちの遮音性についてです。入居者の最大のニーズの一つが建物の「遮音性」です。音が筒抜けのアパートは、質の低いアパートとみなされ入居率、退去率でも差が出ます。
賃貸アパートの遮音性。
入居者の最大のニーズの一つが建物の「遮音性」です。音が筒抜けのアパートは、質の低いアパートとみなされ入居率、退去率でも差が出ます。
大手住宅メーカーD社の事例。
ひところ、大手住宅メーカーの集合住宅で施工不良の問題が出て話題になったことがあります。
界壁を小屋裏(屋根裏)まで延長していない建造物を建てた問題です。
これは、今回のテーマの遮音性に大きな支障がでます。
さらに、賃貸アパートは、建築基準法では「特殊建築物」に含まれます。
建築基準法では、界壁(住戸間を仕切る戸境壁)は、小屋裏(屋根裏)まで延長することになっています。
明らかに、法令違反だったこの 大手住宅メーカーの集合住宅で施工不良の問題 は、アパートの機能として大切な要素である遮音性を軽視した点でも問題でした。
遮音性は賃貸アパートの大切な要素。
賃貸アパートの遮音性を考えた場合、一つは空気を動かして伝わる音です。
これは、人の話す音やラジオ、テレビなどの音で壁(戸境壁)の遮音性を高めることで対策できます。
音を通しにくい壁は重量のあるコンクリート壁が木造板張りより優れています。
ただし、木造でも石綿板などを使用すれば遮音性は高まります。
また、合板に鉛を張った「鉛合板」も遮音性に優れています。
また表面の柔らかな吸音性の高い材料を重ねて使用することもできます。例えばカーペットを敷くことなどです。
さらに 戸境壁 は天井裏まで立ち上げないと、天井裏から音が漏れてしまいます。
これらで空気を伝わる音は解決できます。
次に直接建物を伝う音についてです。
これは階上の足音や椅子を動かす音などが階下に伝わる音などで苦情はかなり多いです。
この音が伝わる原因は建物の木材やコンクリートに直接衝撃や振動が伝わるとそのまま突き抜けてしまう「個体伝番音」です。
話声は、シャットアウトできているのに、この伝番音は通してしまうことが多々あります。
この伝番音の対策は、上下階の場合、天井の構造を工夫します。
例えば悪い施工例として、マンションや公団住宅では、天井をスラブに直貼りしたり、カーペットや畳を直敷きにしている場合があります。
これでは、音は通りやすくなります。
対策例として、天井に吊り束をつけて、上階スラブとの間に緩衝地帯を作ります。
さらに、上階の床には根太を入れて木造床にすることで、天井と同様に空気層ができて直接の伝番を柔らげる効果を出せます。
上階の床には根太 の設置にゴムパッキンを挟むことでさらに効果があがります。
マンションなどの高級仕様では、ユニットフロアーと根太ホームを使う例があります。
ユニットフロアーは、防振ゴム付のもので効果的ですが値段も高く高級仕様になります。
一方根太ホームは、発泡スチロールのようなもので比較的安価です。
賃貸アパートの構造に多い木造や軽量鉄筋造りの場合はこれらマンション用の部材をを工夫して使用することで遮音効果を出せます。
大手プレハブハウスメーカーでは、遮音対策用として、ALC板や石膏ボードなどを使って独自の遮音構造で施工しています。
各社は遮音効果をデシベル数値で明示していますので、参考になります。
まとめ。
今回は「賃貸アパートの遮音性について。」というテーマでお送りしました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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